ブログ変更のお知らせ2006/07/12 18:19

ここのブログの機能がお粗末なので、よそに引っ越すことにしました。
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元気があれば、古い記事も新しいところに移すかもしれませんが
まだどうなるかはわかりません。

めんどうくさがりだから、そのままかも……(^ω^;)

社会見学2006/07/04 23:25


 M治カナ子さんの引率で、埼玉の春日部にある「首都圏外郭放水路」という施設を、家内と三人で見学してきました。

 巨大な柱が並んだ画像を見ると、まるで実写版『ウィザードリィ』とか『女神転生』みたいに見えますし、これで柱に彫刻がほどこしてあったら、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のドワーフが作った地下宮殿「ドワロー・デルフ」ってかんじです。上から洞窟オークが襲ってきそうな雰囲気(笑

 なにをする施設なのかというと

「首都圏外郭放水路は、あふれそうになった中小河川の洪水を地下に取り込み、地下50mを貫く総延長6.3㎞のトンネルを通して江戸川に流す、世界最大級の洪水防止施設です。」(首都圏外郭放水路インフォメーションからの引用。くわしくはリンク先を参照してください。)

 つまり、洪水対策用に地下に作られた人口の川。

 地下宮殿のような画像は「調圧水槽」と言って、地下の川を通ってきた水の勢いを弱めるためのプールで、ここに集まった水を、すぐそばに流れる江戸川に排水するそうです。
 埼玉の中川・綾瀬川流域は、土地が低いために洪水の被害が多かったんですが、この施設のおかげで、昨年の台風の洪水被害は格段に減ったとのこと。

 柱の高さ17m、重さ約500トンだそうで、これが59本も林立した景観は、かなり見応えがありました。
 ふだんの見学なら、調圧水槽の底の部分を歩けるそうなんですが、今日は一部で工事をしているということで、壁面上部にぐるりと付いた通路(たぶん地上15メートルくらいの高さ)を歩かせてもらいました。
底から上を仰ぎ見たかったけれど、上からの眺めはこれはこれで貴重だし、なかなかスリリングでよかったです。

 ここでは1日2回の見学会を実施していて、各20人ずつの見学者を案内してくれます(要予約)。案内をしてくれる係の人は、皆さんとても親切な方ばかりでした。
帰りにはパンフレットと、西澤丞氏撮影による絵はがきをいただいてホクホク。

 ちなみにこの施設は『鉄人28号』『仮面ライダー555』『スカイハイ』などのロケにも使われたんだとか。

「劇画の星」をめざして2006/07/03 15:51

『劇画の星をめざして』佐藤まさあき著 文芸春秋

 貸本劇画で一時代を築いた佐藤まさあきさんの自伝。

 当時の貸本業界の栄枯盛衰、その後の劇画ブーム、「劇画」に対するバッシング、交流のあった漫画家、編集者、アシスタントたちの奇態、確執などが赤裸々につづられていて、いわば戦後漫画史の裏側をのぞき見るような内容。中でも原稿料の推移が具体的な数字で生々しく記されていて、これには驚きました。
 トキワ荘を中心とした漫画家の自伝などと違い、貸本劇画の世界は、また独特の雰囲気があります。

 私がものごころついたころは、すでに町から貸本屋の姿が消えかかっていたので、貸本に光が当たった時代を私は知りませんし、貸本を描く作家に対しても暗くて辛いイメージがつきまとうけれど(たぶん水木しげるさんやつげ義春さんが漫画で描いていたイメージ)、じつは業界の最盛期に人気のあった作家はすごかったらしい。
 著者が日の丸文庫のパーティで聞いた話として「出版社が人気作家を確保するために、専属契約がわりに家を一軒買い与えた」などというすさまじい逸話が載っています。
 それでもブームはそう長くは続かず、貸本業界が斜陽になったときに、いちはやく大手の雑誌に活動を移せた一握りの人が、今で言う勝ち組ということなんでしょうか。

 著者自身も、何度もピンチに陥りながらも、貸本業界から雑誌に移ることに成功し、人気絶頂のころは、池袋に五階建ての自社ビルを建てたり、鎌倉の海の見える高台に家を建てたり、クルーザーを買ったりと、それはもう羽振りがよかったそうですが、当然むちゃくちゃな仕事量だったからこそできること。一日で一本の連載を仕上げるような殺人的スケジュールをこなしていたというのだから、物理的に考えただけでも相当な量です。

 そしてその後、仕事が徐々に減っていく様子も、著者は正直に綴っています。

イピゲネイア2006/06/29 16:55

 飛び飛びで読んでいた、ちくま文庫の『ギリシア悲劇』4巻を読了。
私は三大悲劇詩人の中では、エウリピデスがじつは一番好きだったりします。
 4巻の中では『エレクトラ』や『タウリケのイピゲネイア』を興味深く読みました。
 『タウリケのイピゲネイア』は、アガメムノンの娘イピゲネイアが生きていたという設定で、彼女は生け贄にされる瞬間に、憐れに思ったアルテミスによってタウロイ国に匿われて、巫女として生活しています。
 そこへ弟であるオレステスが捕らわれて来る。二人はお互いの素性にいつ気がつくのか、そして故郷へ無事帰国できるのか、というお話。

 これは同じくエウリピデスの『ヘレネ』とよく似た設定だけれど、『ヘレネ』の庇護者エジプト王テオクリュメノスが、ヘレネ可愛さから人の良さを発揮しすぎて、騙された姿が哀れでさえあるのに対して、イピゲネイアのトアス王はそれほどではないように思えます。それは恋愛要素があるかないかの違いなのかもしれません。
 同じように男を騙すにしても、「女」として騙すほうが罪なような気がするのは、私が男だからでしょうか。

 そして、これは解説にも書いてありましたが、この劇はデウス・エクス・マキナで幕を閉じますが、それを使わずとも、充分にストーリーは完結するので、あえて使っているとしか思えません。つまりデウス・エクス・マキナに頼っているわけではなく、場面を盛り上げるための演出として積極的に使ったものなのでしょうし、当時の観客がそれを望んでいるために、わざわざそうした、というふうに読めます。いわゆる観客サービスに近い役割だったんじゃないでしょうか。

 ちくま文庫に収録されている呉茂一訳とは別に、岩波文庫から『タウリケーのイーピゲネイア』(久保田忠利訳)が出ていたので、こちらも読んでみました。
 この文庫は訳注、固有名詞一覧などの資料が豊富で、巻末の解説もこの一遍にとどまらず、ギリシア悲劇全体のあらましもわかるようになっていて、私のような素人には親切な編集。

 左の画像は、『タウリス島のイフィゲーニエ』。昨年の岩波文庫のリクエスト復刊の一冊です。
 これは『タウリケのイピゲネイア』を材にとり、ゲーテが作り直した戯曲。
充分今日性のある内容で、それぞれの人物の掘り下げもみごとだし、ラストの変更も含めて素晴らしいと思いましたが、なぜこの悲劇を再構築しなければならなかったんでしょうか。
イフィゲーニエが王を騙して逃げるということに、ゲーテの女性観からして納得がいかなかったということなのかな、などと勝手に解釈。

伊藤彦造イラストレーション2006/06/22 22:25

伊藤彦造イラストレーション
 

 おととし亡くなられた伊藤彦造さんの画集の復刊、というか新装・増補版。

 以前出ていたものは古書店で数倍の価格になっていたので、手頃な値段の復刊はたいへん助かります。
 
 この方の絵は、迫力のある闘いの場面でもふしぎなほど品があって、ペンの線がとてもきれいなんですよね。

 腰巻には「580作品収録」とあります。収録点数が多いのは嬉しいけれど、欲を言えば、最低でも雑誌掲載時のサイズで見てみたいなあ。掲載時よりも大きいものもありますが、かなり縮小されてる絵もあるので。

 私はこの方のことを、なんとなく時代劇専門に挿し絵を描いていた人だと思い込んでいたんですが、小学館が昭和40年から発行した『少年少女世界の名作文学』の挿絵も担当していたそうで、この画集でも、古今東西の小説のキャラクターをいくつか見ることができます。

中でもシェンキェヴィッチの『クオ・ヴァディス』の挿し絵などは、意外なほどハマっていて驚きました。
 (余談ながら、小学生のころの私は、この『少年少女世界の名作文学』を図書室から借りてよく読みました。このシリーズは今から思うと充実したラインナップだったし、執筆陣も訳者や監修、挿し絵にいたるまで豪華で、全体の編集も、子供向けだといっても決して手を抜かない一流のものだったように思います。できればもう一度読んでみたいと思うほど。)
 
 来月は弥生美術館にて『伊藤彦造追悼展』も開かれるし、時間があれば観にいきたいと思ってます。

現代植物画の巨匠展2006/06/21 23:18

 新宿の損保ジャパンビル42階「東郷青児美術館」で開催中の『現代植物画の巨匠展』に行ってきました。

 私は昔からマクロよりミクロに心惹かれる気質でした。
空を見上げて「宇宙」だとか「太陽系」だとかのことを考えると無闇に怖くなってくるし、生き物でも、たいていの子供なら大好きなはずの恐竜にはほとんど興味がありませんでした。そういうものよりも、裏庭に生えてる草とか、地面を這っている虫の行き先のほうが気になるのです。
そういう趣味なので、生き物の細密画を見るのも大好きです。

 植物画(ボタニカル・アート)というのは、本来は植物を学術的に同定したりする目的で描かれたものなので、どれもありのままに非常に細かく描き込まれています。絵は写真とは違って対象全体にピントをあてることができるし、画面のどこにも曖昧な部分がないところが、見ていて心地よいです。一枚の絵の中に、つぼみ、花、実、それらの断面図、などを混在させることができる点もおもしろい。

 展示作品の多くは水彩で、面相筆のような細い筆で丹念に丹念に描かれています。絵を見た感想としては変かもしれませんが、どれもじつに楽しそうに描いてるなあと思いました。おそらくどの画家も、色を塗りはじめたら、周りが見えなくなるくらい集中して塗っていたんじゃないでしょうか。

 ありのままに描くとはいっても、構図や構成は画家のアイデアなんでしょうし、当然個性もあります。花も葉も茎もすべてを等しい細かさで描き込む人もいれば、全体の一部をしっかりと描き、周囲は軽くぼかすように描く人も。
正直あんまりピンと来ないものもいくつかありましたが、120点ほどがズラリと一堂に展示されると、これはなかなか壮観です。

 一階のロビーで、絵の所有者であるシャーリー・シャーウッド博士のインタビューのビデオを流していました。これが短いながらもなかなか興味深い内容だったので、これから行かれる方はお見逃しなく。

 売店では図録とポストカードを数点購入。
この図録は日本の展示会用のものではなく、中身は英文で、今回の展示作品のすべてが載っているわけではないのが残念です。逆に言うと展示品以外のものも図録で楽しめるという考え方もできますが。
日本語で書かれた20ページほどの小冊子『出品作品リスト』が付属して、お値段は3900円。本自体はしっかりした内容のものですが、絵画展の図録として考えるとちょっと高いかな。帰宅してからもゆっくり楽しむために買ったのに、見たかったものに限って載ってないし(^^;

ポストカードはお手軽でいいんですが、どうせなら原寸大のポスターなんかもあるとよかったかも。

 この美術館ではゴッホの『ひまわり』や、ゴーギャンの『アリスカンの並木路、アルル』、セザンヌの『りんごとナプキン』を常設展示しています。ひまわりは初めて実物を見たけど、迫力がありますねえ。それまでさんざん細密画に顔を近づけながら見て回った後だけに、なおさら異様なほどの迫力を感じました。
やっぱり生の絵画はそれ自体に力がある。印刷物で見て、なんとなく知ってるつもりになるのは早計だなと思いました。

When I'm Sixty-Four2006/06/19 16:00

 さきほどテレビをつけたら、ポール・マッカートニーが18日で64歳の誕生日を迎えたというニュースをやっていました。
なぜ「64歳」などという半端な誕生日が話題になるかというと、彼がビートルズ時代に作った曲 『ホエン・アイム・シックスティー・フォー』にかけた話題なのです。
 
 ぼくが年をとって髪がうすくなっても
 きみはバレンタインやバースデイカードを贈ってくれるだろうか

 64歳になってもきみはぼくに料理を作ってくれて
 ぼくを必要としてくれるだろうか

といったかんじの、65歳定年まじかをイメージした、つつましやかだけれど幸せな老後を夢見る他愛のない内容の歌なんですが、私は昔からこの歌が好きでした。ヒューズを直して庭の手入れをし、ひざの上には孫がいる、という、なんとも絵に描いたような定年後の姿がかえってほほえましいのです。

 この曲が収録されているアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は、今からほぼ40年前のものです。若い頃にさんざん聴きまくったものですが、今では年に一度くらいしか聴かなくなりました。聴くたびにポールの年齢のことを考えてしまう癖がついたのはここ10年ほど。若い頃はポールが64歳になるなんてずっとずっと先のことだと思っていたんですが。

 ポールは先ごろ離婚をしたので、歌詞のとおりの結婚生活とはならなかったのは残念だけれど、もともとこの歌は彼の父親のことを歌ったものなんだそうです。
彼自身も自分が64になるなんて、録音した当時はリアルには想像できてなかったでしょうね。
 

 我が国でもかつて井上陽水が「父は今年2月で 65」と歌ってましたが、陽水自身が65歳の誕生日を迎えたら、そのことが話題になったりするんでしょうか。