アルゴナウティカ2006/03/10 02:48

『アルゴナウティカ』
アポロニオス(作) 岡道男(翻訳) 講談社文芸文庫

 金羊皮を手に入れるため、英雄たちがアルゴ船に乗り東の果ての国へと赴くギリシアの叙事詩。
 映画『アルゴ探検隊の大冒険』の原作(というよりネタ本)としても有名ですが、訳書は現在この本のみだそうです。日本語で読める唯一の本なのに、数年前から絶版状態。私が住んでいる市の図書館には置いてなかったので、他所の地区から取り寄せてもらって読みました。
復刊ドットコムでもリクエストにほとんど票が入りません(登録している人が見てたら、どうか一票投じてください)。
 ギリシア神話のダイジェスト本などで内容は読めますが、実際に本編を読んでみると、ダイジェストではわからない細々した部分が魅力的です。

 第三歌で父を裏切りイアソンを助けようとするメデイアが、じつはこの叙事詩の主人公のような趣があります。その際のメデイアの心の葛藤もていねいに描写されています。イアソンを助けるか、助けずにいっそ自分も死んでしまおうか、悩んで悩んで泣き疲れるメデイアは、イアソンへの想いで胸を焦がします。

「それはくすぶる火のように身体じゅうを細い筋に沿ってめぐり、頭のうしろの、首の付け根を襲った。そこにいちばんはげしい痛みがさし込むのは、疲れを知らぬ愛(エロス)が苦悩の矢を胸に射たときなのだ。」(P.210)

 こんなのはダイジェストじゃわかりません。

 同じ講談社なんだし、学術文庫あたりで復刊してもらえないかな。

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