現代植物画の巨匠展2006/06/21 23:18

 新宿の損保ジャパンビル42階「東郷青児美術館」で開催中の『現代植物画の巨匠展』に行ってきました。

 私は昔からマクロよりミクロに心惹かれる気質でした。
空を見上げて「宇宙」だとか「太陽系」だとかのことを考えると無闇に怖くなってくるし、生き物でも、たいていの子供なら大好きなはずの恐竜にはほとんど興味がありませんでした。そういうものよりも、裏庭に生えてる草とか、地面を這っている虫の行き先のほうが気になるのです。
そういう趣味なので、生き物の細密画を見るのも大好きです。

 植物画(ボタニカル・アート)というのは、本来は植物を学術的に同定したりする目的で描かれたものなので、どれもありのままに非常に細かく描き込まれています。絵は写真とは違って対象全体にピントをあてることができるし、画面のどこにも曖昧な部分がないところが、見ていて心地よいです。一枚の絵の中に、つぼみ、花、実、それらの断面図、などを混在させることができる点もおもしろい。

 展示作品の多くは水彩で、面相筆のような細い筆で丹念に丹念に描かれています。絵を見た感想としては変かもしれませんが、どれもじつに楽しそうに描いてるなあと思いました。おそらくどの画家も、色を塗りはじめたら、周りが見えなくなるくらい集中して塗っていたんじゃないでしょうか。

 ありのままに描くとはいっても、構図や構成は画家のアイデアなんでしょうし、当然個性もあります。花も葉も茎もすべてを等しい細かさで描き込む人もいれば、全体の一部をしっかりと描き、周囲は軽くぼかすように描く人も。
正直あんまりピンと来ないものもいくつかありましたが、120点ほどがズラリと一堂に展示されると、これはなかなか壮観です。

 一階のロビーで、絵の所有者であるシャーリー・シャーウッド博士のインタビューのビデオを流していました。これが短いながらもなかなか興味深い内容だったので、これから行かれる方はお見逃しなく。

 売店では図録とポストカードを数点購入。
この図録は日本の展示会用のものではなく、中身は英文で、今回の展示作品のすべてが載っているわけではないのが残念です。逆に言うと展示品以外のものも図録で楽しめるという考え方もできますが。
日本語で書かれた20ページほどの小冊子『出品作品リスト』が付属して、お値段は3900円。本自体はしっかりした内容のものですが、絵画展の図録として考えるとちょっと高いかな。帰宅してからもゆっくり楽しむために買ったのに、見たかったものに限って載ってないし(^^;

ポストカードはお手軽でいいんですが、どうせなら原寸大のポスターなんかもあるとよかったかも。

 この美術館ではゴッホの『ひまわり』や、ゴーギャンの『アリスカンの並木路、アルル』、セザンヌの『りんごとナプキン』を常設展示しています。ひまわりは初めて実物を見たけど、迫力がありますねえ。それまでさんざん細密画に顔を近づけながら見て回った後だけに、なおさら異様なほどの迫力を感じました。
やっぱり生の絵画はそれ自体に力がある。印刷物で見て、なんとなく知ってるつもりになるのは早計だなと思いました。

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